
映像にBGMを入れるとき、「このシーンは明るいから明るい曲」「感動的な場面だから感動的な曲」というように、映像の雰囲気に合わせて曲を選ぶことがあります。
もちろん、それも選曲のひとつの考え方です。
しかし、映像に合うBGMを選ぶとき、私はそれだけでは十分ではないと考えています。
なぜなら、映像やナレーションは視聴者の「脳」に伝えるものですが、音楽は「心」に伝えなければ印象に残りにくいからです。
今回は、映像に合うBGMを選ぶときに、単純にシーンの雰囲気だけで決めてはいけない理由について、選曲の考え方をお話しします。
選曲とは映像に合う曲を探すことだけではない
選曲という言葉を聞くと、映像に合いそうなBGMを探して、候補の中から1曲を選ぶ作業をイメージするかもしれません。
もちろん、それも選曲です。
しかし、映像制作における選曲では、もう一歩踏み込んで考える必要があります。
それは、
この音楽によって、視聴者に何を感じてもらいたいのか?
ということです。
映像には、人物、場所、商品の特徴、出来事など、視聴者に伝えるべき情報があります。
ナレーションも、言葉によって具体的な情報やメッセージを伝えます。
一方、音楽は同じように情報を伝えるだけではありません。
映像を見たときの感情を動かしたり、場面の余韻を残したり、視聴者の記憶に残る印象を作ったりします。
だからこそ、BGM選びでは、この映像に合う曲は何か?だけではなく、
この映像を見た人の心に、どんなものを残したいのか?まで考えることが大切になります。
「明るい映像だから明るい曲」だけでは足りない
例えば、企業紹介映像で社員が笑顔で働いているシーンがあったとします。
明るい雰囲気だから、明るくてテンポの良いBGMを選ぼう
これは間違いではありません。
しかし、企業が視聴者に伝えたいのが、楽しい会社なのか、社員同士の信頼関係なのか、
これから成長していく会社なのかによって、選ぶ音楽は変わってきます。
同じ明るい映像でも、音楽によって視聴者が受け取る印象は変わります。
軽快で元気な音楽なら、楽しそうという印象になるかもしれません。
温かみのある音楽なら、人を大切にしている会社という印象になるかもしれません。
少し力強い音楽なら、これから挑戦していく会社という印象になるかもしれません。
つまり、映像の表面的な雰囲気だけを見るのではなく、その映像が本当に伝えたいものを見る。
ここが選曲では重要になります。
音楽は映像の説明ではなく感情を補う
映像とナレーションですでに十分な情報を伝えている場合、BGMまで同じことを説明する必要はありません。
むしろ、音楽が映像やナレーションと同じ情報を強く主張すると、全体がうるさく感じられることがあります。
例えば、ナレーションが商品の魅力を丁寧に説明している場面で、BGMまで大きく盛り上がってしまうと、視聴者はどこに意識を向ければいいのか分かりにくくなります。
音楽には、音楽にしかできない役割があります。
それが、感情を補うことです。
映像と言葉で「何が起きているのか」を伝え、音楽でそれをどう感じるのかを支える。
この役割分担ができると、BGMは単なる背景音ではなくなります。
選曲センスは曲をたくさん知っていることだけではない
では、選曲センスとは何でしょうか。
私は、単純にたくさんの曲を知っていることだけではないと思っています。
もちろん、たくさんの音楽を知っていれば選択肢は増えます。
しかし、本当に重要なのは、映像が伝えたいことを理解し、それに合った感情を音楽で作れることではないでしょうか。
同じ映像でも、選ぶ曲によって印象は大きく変わります。
だから選曲では、この曲、いい曲だなという自分自身の感覚だけで判断するのではなく、
この映像を見ている人は、この曲によって何を感じるだろう?と考える必要があります。
自分が好きな曲と、映像に必要な曲は、必ずしも同じではありません。
ここを切り分けられることも、選曲における重要なポイントです。
BGMを選ぶときは曲だけでなく映像との関係を見る
実際にBGMを選ぶときには、曲単体で聴いて判断するだけでは不十分です。
映像と一緒に再生して、
- ナレーションを邪魔していないか
- セリフが聞き取りやすいか
- カットのテンポと合っているか
- 曲の盛り上がる場所が映像の展開と合っているか
- 映像の情報量に対して音楽がうるさくなっていないか
- 音楽が入ることで、場面の感情がより伝わっているか
- 視聴後にどんな印象が残るか
などを確認します。
ここで重要なのは、曲単体では良いのに、映像に合わせると違って聞こえることがあるということです。
これは選曲では珍しいことではありません。
だからこそ、最終的には必ず映像と一緒に判断します。
音楽は心に残る映像を作るための要素
映像やナレーションによって、視聴者に必要な情報を届ける。
そして音楽によって、その情報を受け取ったときの感情を支える。
私は、この組み合わせが映像音響では非常に重要だと考えています。
映像を見終わったあと、何を説明されていたのかだけではなく、
なんとなく温かい気持ちになった、前向きな気持ちになった、なぜか印象に残っているという感覚が残ることがあります。
その「なんとなく」の部分に、音楽が大きく関わっていることがあります。
だから私は、映像やナレーションは視聴者の脳に伝えるもの。音楽は心に伝えないと印象に残らない。
と考えています。
もちろん、これはすべての映像に同じように当てはまるという意味ではありません。
映像の目的によって音楽の役割は変わります。
ただ、BGMを単なる雰囲気づくりと考えるのではなく、視聴者の心に何を残すための音なのかと考えてみる。
それだけでも、選曲の見え方は大きく変わってくると思います。
映像に合うBGMを自分で選ぶのが難しい場合は
BGMは、曲そのものが良ければ成立するわけではありません。
映像の目的、ナレーション、セリフ、映像のテンポ、構成、尺など、さまざまな要素とのバランスを考えながら選ぶ必要があります。
「BGMを入れてみたけれど、なんとなく映像がしっくりこない」
「候補曲はたくさんあるけれど、どれを選べばいいのか分からない」
「映像の雰囲気に合う曲ではなく、映像の目的に合った曲を選びたい」
そんな場合は、選曲そのものを専門家に任せる方法もあります。
SEMでは、映像の内容や目的を確認したうえで、映像に合わせたBGMの選曲を行っています。
単純に「明るい曲」「感動的な曲」を選ぶのではなく、映像全体の構成やナレーションなどとの関係を考えながら、BGMの役割を整理して選曲します。
映像に合うBGMを探している方は、SEMの「選曲サービス」をご覧ください。
